オンライン会議の顔出し要求が本当にパワハラになるのか?

ハラスメント

各企業とも「テレワーク」を改めて推進しています。
テレワークに伴い、今までにないハラスメントが発生しているといわれています。

よくご相談いただくのが、
「オンライン会議で社員に顔出しを求めることは、パワハラにあたるのでしょうか?」
という内容です。

顔出しの要求はパワーハラスメントなのでしょうか?
YESともNOとも断言できません。

しかし、1つ確実に言えるのが、
「オンライン会議の顔出し要求=パワハラ」と単純化することは、誤りです。

ましてや、相手が不快だからパワハラとは言えません。
なぜなら、パワハラは客観的な判断が大切になります。
そのため、定義に沿って判断することが大切です。

では、いわゆるパワハラ防止法を参考にパワーハラスメントの定義を確認してみましょう。

パワーハラスメントの定義

職場において行われる
①優越的な関係を背景とした言動であって、
②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、
③労働者の就業環境が害されるものであり、
(身体的若しくは精神的な苦痛を与えること)

①から③までの全て満たすものをいう。
なお、客観的に見て、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については、職場におけるパワーハラスメントには該当しない。

オンライン会議の顔出し要求が本当にパワハラになるのでしょうか?

テレワークでもパワハラの定義は変わりません。
対面の会議の際に、皆さん顔が見える状態でやっていたのではないでしょうか?
そうであるならば、オンラインになっても顔出しで会議することがパワハラに該当する可能性は低いといえます。
定義を参考にすれば、業務上必要かつ相当な範囲を超えたとはいえません。

ただし、こんな時はパワハラになる可能性が高い

「お前は本当に使えないなぁ~。ちゃんと話聞いているのかわからないから、お前だけ顔出しておけ!監視してやる」
「あなたは人として欠陥だらけだね。私が生活指導をしてあげる。あなたの家の中、全部カメラで映しなさい」 等

上記は、定義の①から③までの3要素、そしてパワハラの6類型に当てはまると思われます。
つまり、パワハラに該当するかどうかは、

3要素×6類型

に当てはまるかどうかという視点でまずは考えましょう。

3大ハラスメントをしっかり理解することが重要

リモハラ・テレハラ等、新しい言葉がたくさん出てきましたが、大切なことは職場の3大ハラスメントをしっかりと理解しておくことです。
なぜなら、職場におけるハラスメントは3大ハラスメントを理解していれば、殆どの場面で判断できるからです。

ぜひ、新しい言葉に惑わされないでください。時には過剰を通り過ぎて、誤った情報もあります。

また、3大ハラスメントの基盤となる

モラルハラスメント(モラハラ)

については、十分理解しておくことをお勧めします。
パワハラには該当しないとしても、モラハラに当てはまる言動が職場環境を悪化させ、生産性を低下させてしまっている企業も目立ちます。

モラハラについても、企業の担当者様からのご相談を承っております。
ハラスメント対策は、よりよい組織づくりにとって欠かせません。
一緒に取り組んでいきましょう。

関連研修

メンタル・リンクでは、今回の記事に関連した研修を行なっております。
詳しくは、以下をご覧ください。

【全社員向け】パワハラ対策研修

https://mental-link.co.jp/wp/service/training/power_harrasment_measure/

【管理職向け】パワハラ防止研修

https://mental-link.co.jp/wp/service/training/power_harrasment_prevention/

【全社員向け】セクハラ・マタハラ対策研修

https://mental-link.co.jp/wp/service/training/harrasment_measure/

この記事を書いた人

公認心理師/シニア産業カウンセラー

宮本剛志

株式会社メンタル・リンク 代表取締役 教育関係の企業(ベネッセグループ)で事業所や相談室の責任者を経験。その後、カウンセラー・研修講師として独立。研修・講演は年間約155回、カウンセリングは年間のべ275人。 複数の組織でハラスメント防止委員会の委員を務めるなど社外でも活動している。「怒る上司のトリセツ(時事通信社)」「週刊ダイヤモンド(2020年5月16日号)」など書籍・メディア掲載も多数。

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