2023年12月06日
メンタルヘルスケア
会社をしばらく休みたい、会社を休職したいというときに悩むのが、上司への伝え方ではないでしょうか。
しかし、
「どうやって伝えればいいかわからない…」
という人も多いはずです。
そこでこの記事では、休職を上司に伝えるときの正しい方法について詳しく解説していきます。
さらに、休職を申し出るときの注意点についても紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
休職とは「雇用関係を保ったまま仕事を休む」ことを意味します。
通常の「欠勤」では1日単位で休みますが、休職では長期間の休みを取るのが一般的です。
休職が認められる理由は会社によって異なりますので、就業規則を確認しましょう。
<主な休職の種類>
・傷病休職:業務外で発生したケガや病気
・自己都合休職:ボランティア活動への参加
・留学休職:海外留学
・出向休職:関連企業などに出向したとき、本来の所属企業を休職扱いにする
・組合従属休職:労働組合業務のために本来の仕事を休む
・起訴休職:刑事事件で起訴された
・事故欠勤休職:なんらかの容疑にかけられ逮捕、勾留された
休職制度は会社が独自に定めているものであり、休職が認められる期間についても会社によって異なりますので注意が必要です。
では次に、休職の正しい伝え方について詳しく見ていきましょう。
ケガや病気など、どうしても出社できない事情がある場合を除き、休職の申し出は対面で行うのが基本です。
会社に出社できない事情があり直接伝えられないときは、電話で伝えます。
直接言うのが精神的に負担となり、体調が悪くなるようなケースではメールで伝えても問題ありません。体調については主治医に必ず相談しましょう。
「伝える勇気が出ず、結局無断欠勤が続いてしまった…」
という状況になる前に、まずは自分にできる方法で上司に相談しましょう。
休職するためには、ケガや病気、ボランティア活動への参加といった「休職の理由」を上司に説明する必要があります。
会社の制度を利用するとはいえ、休職するためには会社や上司、仲間の理解や協力が不可欠です。
快く休ませてもらえるように、しっかり理由を説明しましょう。
診断書は、ケガや病気で仕事ができない状態を証明するために必要な書類です。
「診断書がない場合は休職できない」というわけではありませんが、傷病休職の場合には必要です。
忘れずに提出してください。
では次に、休職について上司に伝えるときの“具体的なステップ”について、詳しく解説していきます。
最初に確認すべきなのは、働いている会社の就業規則です。
休職制度は法律で定められた義務ではないため、会社によってはそもそも休職制度がない場合もあります。
休職制度がない会社に「長期間休みたい」と申し出た場合、そのまま退職扱いにされてしまう可能性があります。
このような事態を避けるためにも、
・休職制度の有無
・休職できる期間
・申請方法
・手当金の有無
などを、前もって確認しておくと安心です。
また、ケガや病気を理由に休職したい場合には、その必要性を裏付けるために診断書を準備します。
・業務ができる状態ではないこと
・業務に復帰するためにどれくらい療養しなければならないか
など、休職しなければならない理由を診断書に記入してもらってください。
直属の上司に休職を申し出る前にメールでアポイントを取っておくと、段取りよく休職の相談ができます。
また、話を聞く上司も、事前に「話がある」と聞いていれば心の準備ができるはずです。
もし、休職したい理由が直属の上司にある場合は、さらに上の上司にアポを取ります。
休職したい旨を上司に伝え、仕事ができない状況を理解してもらいましょう。
場合によっては、さらに上の上司や人事担当者との話し合いが行われます。
休職した方が良いと判断されれば、正式に休職の手続きに進みます。
仕事を辞めるのではなく「休職」をすると、どんなメリットやデメリットがあるのでしょうか?
休職中は労働義務がないため、ケガや病気の療養に専念できます。
実際に、メンタルヘルス不調で休んだり出勤したりを繰り返していて、なかなか健康な状態に戻れない…というケースも多くあります。
そういったときは、正式に休職して職場を離れ、心身の状態を回復させることに専念しましょう。
また、休職中も雇用関係は継続しています。
休んで元気になったときに働く場所があるため、安心して休養できます。
会社に認めてもらって休んでいるとはいえ、上司や同僚に負担をかけている状況にストレスを感じてしまう方も多くいます。
また、休むことで人事評価への影響が出るのではないかという不安を感じるかもしれません。
自分が気にしすぎてしまったり、社内の評価が下がったりしないように、休職に対して周りに十分理解してもらう必要があります。上司や人事担当者と話をして、どこまで何を同僚に伝えるのか決めましょう。
(ただし、疾病について全て説明しなければならないということではありません)
さらに、休職中は手当があったとしても給与の支払いは行われないことがほとんどです。
収入がなくなっても、生活費や住民税などは支払わなければなりませんので、経済状況が厳しくなってしまうかもしれません。
では次に、休職するときの注意点を4つ紹介します。
休職規定は会社によって異なります。
スムーズに休職をするためにも、以下のポイントをしっかりと確認しておきましょう。
・休職期間
・申し出の期限
・報告する人
・必要書類
・延長規定
ケガや病気による休職の場合は、規定通りにできないかもしれません。
最初に定められた休職期間を過ぎても仕事に復帰できない場合もよくあります。主治医と充分相談してください。ちなみに、復職する際にも診断書は必要です。
また、会社内の誰に相談すればいいのかについても、事前に確認しておくと安心です。
特に決められていなければ、まずは上司に相談するのがおすすめです。
先に同僚や後輩に相談して、噂話として上司に伝わってしまうと、問題になる可能性がありますので注意してください。
健康保険法により、ケガや病気で会社を休んでいる被保険者には、傷病手当金が支給されます。
傷病手当金は、健康保険制度の被保険者が業務外の病気やけがで4日以上働けない場合に支給されるものです。
支給額は、支給開始日前の12カ月間の標準報酬月額の平均を30日で割った額の2/3となります。
つまり、月給のおよそ「2/3」が支給される計算になります。支給開始日の以前の期間が12ヵ月に満たない場合は、次のいずれか低い額を使用して計算します。
また、健康保険組合によっては計算方法が異なり、受け取れる額も微妙に変わることがあります。傷病手当金は最長で1年6カ月まで受け取ることができます。
傷病手当金が支給される条件は以下の通りです。
・会社の健康保険に加入している
・業務外の理由でのケガや病気による療養である
・労働ができない
・連続する3日間を含めた4日以上労働できない
・休職中の給与の支払いがない
上記条件を満たしている場合は、給付金額や期間、手続きの方法を確認しましょう。
健康保険料や厚生年金保険料、住民税などは、休職中でも支払わなければいけません。
いざ支払いとなったときに焦らないように、どれくらいの金額になるのか計算をしておく必要があります。
経済的な不安が少しでも解消できると気持ちが楽になります。
給料は労働の対価として支払われるため、休職中は支払われないケースがほとんどです。
中には、給与補償制度を設けて、休職中も給与の一部がもらえるという会社もありますが、会社によって対応が異なりますので、事前に就業規則を確認しておきましょう。
休職をするためには、上司に相談する必要があります。
とはいえ、中々上司に言い出せず、悩んでしまっている方もたくさんいるでしょう。
そのような方は、今回紹介した手順やポイントを参考にしながら、できるだけ波風を立てずに休職できるように準備を進めてみてください。
また、困ったことがあれば、社内の保健師・カウンター等の産業保健スタッフに相談することもできると思います。
休職にはメリットだけでなくデメリットも存在していますので、勢いに任せるのではなく、しっかりと情報収集を行ったうえで決断することをおすすめします。
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