怒られて困っている新入社員の皆さんへー後編ー

ハラスメント

前回に続いて、怒られて困っている新入社員の皆さんへ、怒る人とどう付き合えばいいのか?弊社代表の著書 「こんなの理不尽!怒る上司のトリセツ」(時事通信社)をもとに、最近の傾向を加えながらご紹介します。

前回のコラムを見て数社の人事担当者の方より若手社員・職員のメンタルタフネス強化のご相談がありました。
新入社員の皆さんだけではなく、人事担当者の方にとっても参考になればと思います。

今回のテーマは、
「怒り」から抜け出す4つのステップ です。

ステップ1:出口を決める
ステップ2:観察する
ステップ3:分析する
ステップ4:最終防衛ラインを決める

 

<ステップ1>出口を決める

相手の「怒り」の感情に振り回されることなく、また、あなたの感情を相手の都合に支配されることなく、あなた自身がどのような状況を望むかを思い描くことがスタートです。
そして、その実現がゴールとなります。

「怒られる」→「ボーっとして何もできなくなる」→「さらに怒られる」 この迷宮の中にいては、状況は変わりません。
あなたはどんな状況を実現したいでしょうか?
例えば、「あの人からもう怒られないようになりたい」「逃げだしたい」「怒られてもやり過ごせるようになりたい」「反論できるようになりたい」等

まずは出口を決めましょう。

<ステップ2>観察する

「怒られている」という最大の悩みを「怒られない」という逆転の環境に変える道筋を見極めるための第一歩は、「観察」です。
相手の「手の内」を知るためにも、あなたが追い込まれている今の状況を俯瞰するためにも必要です。
相手が怒りっぽい時期、日、時間、仕事内容、コミュニケーション手段、相手、価値観・・・等。
よーく観察してみましょう。

コロナ禍でテレワークが増えた人も多いと思います。
テレワークで離れた関係性でも、「理不尽に怒られ困っている」というご相談をいただきます。テレワークでもまずは相手を観察することからはじめると上手くいきます。

例えば、上司に怒られて困っていたが上司を観察したそうで、以下のように報告してくれました。
「部長が理不尽に怒りやすい時間帯がわかりました。それに部長は、こちらから『いま、〇〇やっています』と伝えるととても機嫌いいです。報告の内容より、部下から率先して伝えてきたという行為の方が大事な人なんだとわかりました」

意外な気づきやヒントを得ることができますので、観察してみてください。

<ステップ3>分析する

怒りが発火する原因や、よく燃える燃料、鎮火する条件があります。また、大爆発の要因もあります。それら諸条件を分析し、適切な対処を行えば、他人の「怒り」を制御し、巻き込まれることから脱却できます。

「怒る上司のトリセツ」第5章で詳しく説明していますが、分析や対処は人それぞれのタイプによって変わってきます。

「理不尽に怒られた」と感じている時点で、あなたと相手は全く違うタイプだと言えます。
自分と相手の違いを知り、違いをどう乗り越えるのか。新入社員の皆さんも日々悩んでいるのではないでしょうか。
おススメは心理テストを使うことです。

<ステップ4>最終防衛ラインを決める

いよいよ、相手の怒りに対処しますが、「怒り」の根拠が常に相手の感情にあることを忘れないようにしましょう。
そのため、全てが思い描くような出口にたどり着くことはありません。

相手が社内の人であれば、今後の仕事、職場、部門等を踏まえて、どこまで後退できるかという「最終防衛ライン」を心の中でそっと決めておくことをお勧めします。

社外の人であっても、どこまでなら下がれるのか(譲れるのか)、どこまで出ることができるのか(主張・提案することができるのか)、どこを越えたら逃げるのか(手放すのか)、考えておくことが有効です。

怒られて困っている新入社員の皆さんへ

次回は・・・ 怒られやすい人について、分類し解説をします。

関連研修

メンタル・リンクでは、今回の記事に関連した研修を行なっております。 詳しくは、以下をご覧ください。

【一般社員向け】上手な叱られ方研修

https://mental-link.co.jp/wp/service/training/how_to_get_angry/

【管理職向け】心理的安全性研修

https://mental-link.co.jp/wp/service/training/psychological_safety/

この記事を書いた人

公認心理師/シニア産業カウンセラー

宮本剛志

株式会社メンタル・リンク 代表取締役 教育関係の企業(ベネッセグループ)で事業所や相談室の責任者を経験。その後、カウンセラー・研修講師として独立。研修・講演は年間約155回、カウンセリングは年間のべ275人。 複数の組織でハラスメント防止委員会の委員を務めるなど社外でも活動している。「怒る上司のトリセツ(時事通信社)」「週刊ダイヤモンド(2020年5月16日号)」など書籍・メディア掲載も多数。

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