2022年10月25日
ハラスメント
パワハラをしてしまった経営者にご自身のパワハラ発言について、なぜその言葉を言ってしまったのかヒアリングをすると・・・
「良かれと思っていったことです」「鼓舞しようと思って伝えたのに・・・」「私の若いころは普通に使っていた言葉ですよ」
などと言われます。「パワハラをするぞ!」と思って経営をしている人はいません。つまり、無自覚に良かれと思ってやっていることがパワハラになることがあるのです。そのため、今回は、悪気なくついうっかり使っているパワハラ発言を取り上げ、どのように言い換えるとよいのか具体的に考えていきたいと思います。「うっかり使いがちだ!」と気づいた方は、今日から言い換え例を参考にしてください。
悪気なくうっかり使ってしまいがちな「うっかりパワハラ発言」を6つ例に挙げてみました。ご自身の心理的背景を認識したうえで、改善例のように言い換えてみましょう。
失敗した部下に対して「もう仕事を任せられない。いいよ、何にもやらなくて」と仕事を与えない状態が続いた。
大事なお客さまに迷惑をかけると信頼関係にひびが割れる、事業が立ち行かなくなるという心理が働くことがあります。ただし、業務を一切任せないようなことになると、過小な要求(業務上の合理性なく能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと)に該当してしまう可能性があります。
「この仕事はお客さまに〇〇という影響を与えてしまうので、ミスしてはいけない仕事です。2日間かけていいのでマニュアルをもう一度読み直してほしい」
「必要な知識は△と△だから覚えるように。わからないところがあったら、今週中に相談して。覚えたらまた取り組んでほしい」
以下の②~⑥のうっかり発言の「パワハラ発言者の心理的背景」「こう言い換えよう⇒」はドリームゲートの記事で続きをご覧ください。
サボらずやっているが、仕事が終わらない部下に対して「これが終わらないなら、徹夜だからな。乗り切ったら力つくから!」と言って激励した。
女性(Cさん)に「B社との交渉事は厳しい場面になるので、女性にやらせるのはかわいそうだね。やらないでいいよ」と言って担当から外す。
顔色の悪い部下から「(取引先の)D社の担当者からプレッシャーが凄くて今回の仕事をやっていく自信がないです」と言われた際に、「そんなことで弱音吐くなんて根性ねぇやつだなぁ···」と言って突っぱねた。
職場の懇親会でFさんのスマホにある写真を勝手に見て「Fさんこんな趣味あるんだぁ。上司として部下の事は知っておかないとな(笑)」と言った。
業界経験があるJさんを中途社員として採用。社長が担当していた複数の企業を引き継ぐことになったが、引継ぎ内容に分からない点が多々あったため、度々Jさんが質問した。社長は「業界の経験あるんでしょ。それぐらい自分で何とかしてよ。こんなことまで私に聞いてくるなんてセンスないんじゃないの」と言って具体的な説明をしなかった。
よく経営者の方から「宮本さん、私の発言ってギリパワハラではないですよね?」と聞かれます。私は「社長、ギリギリを狙わないでください」と伝えています。パワハラかどうかという基準は、人間関係において最低のラインです。つまり、そのラインを下回らないからと言って、より良い関係であるとは言えません。健康的で建設的な関係を構築することが、生産性を高め事業を成功に導くのではないでしょうか。
パワハラ対策について様々な記事を書いていますので、もしよろしければ、こちらをご覧ください。
メンタル・リンクでは、今回の記事に関連した研修を行なっております。
詳しくは、以下をご覧ください。
【全社員向け】パワハラ対策研修
https://mental-link.co.jp/wp/service/training/power_harrasment_measure/
【管理職向け】パワハラ防止研修
https://mental-link.co.jp/wp/service/training/power_harrasment_prevention/
株式会社メンタル・リンク 代表取締役 教育関係の企業(ベネッセグループ)で事業所や相談室の責任者を経験。その後、カウンセラー・研修講師として独立。研修・講演は年間約155回、カウンセリングは年間のべ275人。 複数の組織でハラスメント防止委員会の委員を務めるなど社外でも活動している。「怒る上司のトリセツ(時事通信社)」「週刊ダイヤモンド(2020年5月16日号)」など書籍・メディア掲載も多数。