2023年10月02日
ハラスメント
パワハラに悩まされている方の中には、
「誰に相談すればいいかわからない」
と悩んでいる方もたくさんいるでしょう。
パワハラ被害に遭っているにもかかわらず、どこにも相談できないという状況が続くと、心と体がボロボロになりますので、一刻も早く相談し、解決に向けて動き出さなければなりません。
そこでこの記事では、パワハラ相談ができる窓口や、パワハラ相談の具体的な流れを紹介していきます。
では早速、パワハラ相談に乗ってくれる外部の窓口について詳しく見ていきましょう。
総合労働相談コーナーは、全国にある労働基準監督署や労働局などに設置されている、労働問題を相談するための窓口です。
電話や面談を通して、相談員の助言や指導を受けられますので、パワハラに悩む方の助けになってくれます。
また、労働基準法違反が疑われる場合は、担当部署への取り次ぎも依頼できます。
予約不要かつ無料で利用でき、秘密厳守で相談に対応してもらえますので、パワハラ相談に対して不安を抱えている方にもおすすめです。
パワハラは非常にデリケートな問題であり、誰かに打ち明けるだけでもかなり気を使います。
総合労働相談コーナーには、知識と経験豊富な職員が多数在籍しており、親身になって話を聞いてくれますので、パワハラに関する悩みを抱えている方はぜひ一度相談してみてください。
労働相談センターは、全国労働組合総連合が運営する無料の相談窓口です。
フリーダイヤルに電話をすると、地域の労働相談センターにつながります。
労働相談センターでは、パワハラを認めさせる方法や、パワハラに対する法的措置などのアドバイスや情報提供を受けられます。
メールでの相談も可能ですので、電話をする時間がない方でも相談しやすいです。
働く人のメンタルヘルス・ポータルサイトの「こころの耳」では、パワハラについてLINEやメール、電話で相談できます。
以前、私もこころの耳のカウンセラーとしてパワハラの相談を受けていたことがあります。
パワハラによって辛い思いをしている方や、メンタルケアが必要な方におすすめです。
サイトには、ストレスセルフチェックや疲労蓄積度セルフチェックなどのコンテンツがありますので、まずは自分の状態をチェックしてみてはいかがでしょうか。
「みんなの人権110番」では、法務局職員や人権擁護委員にパワハラの悩みを相談できます。
電話やメールで相談できるほか、直接話を聞きたい場合には、法務局や地方法務局、支局で面談も可能です。
法的トラブルを解決するための総合案内所である「法テラス」でも、パワハラの相談を受け付けています。
問題の解決に役立つ情報が得られ、無料法律相談も可能ですので、どうすればパワハラ問題が解決するのかわからないという方に適した窓口です。
また、要件を満たしている場合には弁護士費用の一時立て替えを依頼できます。
弁護士に依頼したいけれど費用を用意するのが難しい方にもおすすめです。
社労士(社会保険労務士)は、労働関連の法律や社会保険の専門家です。
社労士の仕事には労務管理があり、社員の職場環境を管理する役割を担っています。
このようなことから、労務管理に含まれるパワハラについても相談可能です。
ただし、社労士には労働裁判や訴訟の申し立て代理権がなく、パワハラ解消に向けて企業に働きかけを行うことしかできませんので注意してください。
「パワハラをしてきた相手」や「企業」を相手取り、訴訟を起こしたいという場合は弁護士に相談しましょう。
弁護士は法の番人でもありますので、法律的な観点から適切なアドバイスをしてくれます。
ただし、弁護士に依頼する場合は着手金が必要であり、慰謝料や損害賠償を受け取った際には成功報酬が発生しますので注意が必要です。
弊社顧問弁護士の鳥飼康二先生(中野すずらん法律事務所)は、産業カウンセラーの資格を持っています。相談したい方は、以下のホームページからお問い合わせください。
https://nakano-suzuran.com/torikai/
では次に、パワハラ相談の具体的な流れについて詳しく解説していきます。
パワハラ問題を解決するためには、ひとまずパワハラの証拠を集めなければなりません。
証拠がないとパワハラを立証できないため、問題の解決につながらないどころか、泣き寝入りせざるを得なくなります。
「いつ」「どこで」「誰が」「何を」「何のために」行ったのかを記録しましょう。
記録は、箇条書きやメモ書きでも構いません。
パワハラについての記録だけではなく、日頃から日記を付けているとより信憑性が増すようです。そのため、日常的に記録(日記)をつけるようにしましょう。
また録音やメールの記録なども、パワハラの証拠として役立ちます。
証拠となる具体的なものについては、「パワハラを相談する前に準備しておくべきもの」をご参照ください。
さらに目撃者がいた場合は、誰が見ていたのかも記録しておくと事実の証明につながります。
パワハラ問題を解決する義務は企業にあります。
パワハラに悩んだ場合は、ひとまず上司や人事部、社内の窓口など、相談できる相手を探しましょう。
パワハラを防ぐ体制が整った企業であれば、パワハラの実態を調査し、人事配置の見直しや加害者への処分、再発防止の対策といった対応をしてくれます。
社内で相談できる相手がいない場合や、相談をしても解決しない場合には、先ほど紹介したような外部の窓口に相談してみましょう。
相談窓口では、パワハラ問題の解決につながる情報を得られます。
それでもトラブルが解決しない場合は、労働審判の申し立てや訴訟を起こすことを視野に入れる必要がありますので、パワハラをどのように解決したいのかを考え、弁護士に相談してみましょう。
では次に、パワハラの相談をする前に準備しておくべきものを紹介します。
事前準備をしっかりと行っておくことによって、パワハラの相談がしやすくなりますし、スムーズにトラブルを解決できる可能性も高くなります。
・ボイスレコーダーでパワハラ発言を録音する
・スマホのボイスメモでパワハラ発言を録音する
・同僚に協力してもらってパワハラ現場を撮影する
・怪我をしたときの体の状態を撮影しておく
・パワハラになる業務命令を書面で残す
・パワハラになるメールやLINEのやりとりを残しておく
・パワハラの相談をしたメールを保存しておく
・パワハラについて詳細にメモに書き残す
このように、パワハラの証拠になりそうだと思うものを少しでも多く用意しておくと、いざという時に役立ちます。
パワハラによって怪我をしたり、精神疾患が現れたりしたときには、必ず病院で診断書を出してもらってください。
怪我をした理由や、精神的に追い詰められた原因がパワハラであることを診断書に記載してもらえば、パワハラを立証する証拠となります。
パワハラ被害にあってから時間が経ってしまうと、怪我や病気の原因がパワハラだと認められなくなってしまうため、なるべく早く診断書を取得しましょう。
パワハラは、被害者が声を上げ、早急に対応しなければいつまでも続きます。
それどころか、時間が経つほどにエスカレートすることもあります。
そうなると、心身に大きな負担がかかったり、仕事を辞めなければならなくなったりと、被害者ばかりが辛い思いをすることに。
パワハラに悩んでいるのであれば、早めに相談することをおすすめします。
社内で解決しないときには外部の相談窓口も活用して、一刻も早くパワハラ被害からの脱却を目指しましょう。
株式会社メンタル・リンク 代表取締役 教育関係の企業(ベネッセグループ)で事業所や相談室の責任者を経験。その後、カウンセラー・研修講師として独立。研修・講演は年間約155回、カウンセリングは年間のべ275人。 複数の組織でハラスメント防止委員会の委員を務めるなど社外でも活動している。「怒る上司のトリセツ(時事通信社)」「週刊ダイヤモンド(2020年5月16日号)」など書籍・メディア掲載も多数。