学校での指導はどこからパワハラ?定義やよくあるハラスメント事例を紹介!

ハラスメント

様々なハラスメントが問題視されている昨今においては、学校における指導方針や教育スタイルも変わりつつあります。

とはいえ、子どもを正しい方向に導くためには、ときに厳しく指導をすることもあるでしょう。

そこでこの記事では、学校での指導はどこからパワハラになるのか、なぜ学校でパワハラが起こってしまうのかということについて詳しく解説していきます。

学校でのパワハラとは

パワハラとは、社会的に強い立場にある人が、権力や立場を利用していじめや嫌がらせを行うことです。スクールハラスメントの1つです。

学校においては、強い立場にある先生が、生徒に対してパワハラを行うケースがあります。

また、パワハラと聞いて体罰をイメージする方も多いと思いますが、無視や人格否定など、精神的苦痛を与える言動もパワハラになる可能性がありますので注意しましょう。

指導者が覚えておくべき指導とパワハラの関係

冒頭でも解説したように、教育現場では生徒に対してときに厳しく指導しなければならない場面があります。

ここで問題として挙がってくるのが、懲戒権とパワハラの関係です。

教師には、学校教育法11条によって「懲戒権」が認められています。

これは、教育上必要があるときは、学生や生徒および児童に懲戒を与えられるというルールのことです。

ここで注目すべきなのは「教育上必要があるとき」という文言です。

中には、

「体罰によって肉体的苦痛を与えたり、無視や人格否定によって精神的苦痛を与えたりするのも懲戒のうちだ」

と考える教師もいますが、これは間違った解釈です。

どのような理由があったとしても、暴力や暴言などは教育上必要とは認められません。

なぜ学校でパワハラが起こってしまうのか

では次に、学校でパワハラが起こってしまう理由について詳しく見ていきましょう。

教師が指導とパワハラの違いを理解していない

先ほども解説したように、中には懲戒権とパワハラの違いを理解していない教師もいます。

このような教師は、生徒へのパワハラを「指導の一環」と考えていることが多いです。

特に昭和の時代は、暴力や暴言が指導の一環だと考えられていたため、昔ながらの方法で教育を受けてきた教師は、パワハラを行ってしまう可能性が高いといえます。

「飴と鞭」の間違った解釈

複数の生徒を同時にまとめ上げなければならない教育現場では、「飴と鞭」の使い分けが大切です。

例えば、

「一切叱らない先生」

「何をやっても許してくれる先生」

と思われてしまうと、生徒が一向に指示を聞いてくれなくなります。

ここで「鞭」の存在が重要になるのですが、中には鞭の使い方を間違えてしまう教師もいます。

例えば、パフォーマンスの一環として体罰や暴言などを行うケースです。

これは、紛れもなく「立場を利用したいじめ・嫌がらせ」に該当します。

教師の労働環境

教師の仕事時間は、中学校教員が最も多く、平均約11時間半だそうです。

睡眠時間も、5~6時間の割合が最も多く、かなり過酷な労働環境であることがわかります。

参考:文部科学省「教員の仕事と意識に関する調査」

このように、教師自身が肉体的あるいは精神的に疲弊していると、ストレスが溜まり、心に余裕がなくなり、ついカッとなってパワハラにつながることがあります。教師の労働環境は、学校でパワハラが無くならない理由の1つといえるでしょう。

学校でよくあるパワハラの事例

では次に、学校でよくあるパワハラの事例について詳しく解説していきます。

体罰を与える

学校で起こるパワハラとして多いのが、体罰です。

体罰については、ここ最近ニュースをはじめとする各メディアでも報じられており、全国的に問題視されています。

例えば、

・宿題を忘れた生徒に蹴りを入れる

・授業中騒いでいた生徒をビンタする

・部活でミスをした生徒を殴る

などです。

このような指導は、お世辞にも「教育」とは呼べません。

昔は許容されていたかもしれませんが、少なくとも現代においては間違った指導方法です。

つねる、あるいは体を押すというようものであっても、パワハラになる可能性がありますので注意してください。

生徒を特定の部屋に留め、外に出ることを許さない

過ちを犯した生徒を特定の部屋に閉じ込め、外に出ることを許さないという指導もパワハラに該当する可能性が高いです。

他にも、

・居残りをさせた生徒に対してトイレに行くことも許さず、軟禁状態にする

・宿題を忘れた生徒を何時間も正座させ、苦痛を与える

このような指導もパワハラになることがありますので注意しましょう。

1日中無視をする

先ほども解説したように、肉体的苦痛だけでなく、精神的な苦痛を与えた場合もパワハラとしてみなされることが多くあります。

よくあるのが、生徒を1日中無視するケースです。

例えば、

「生徒Aが生徒Bを無視して精神的苦痛を与えた」

というトラブルが起こったとしましょう。

これに対して、同じ体験をさせようとして生徒Aを1日中無視したとします。

残念ながら、このような事例でも「無視をする」という行為がパワハラに該当する可能性が高いです。

生徒のためを思って行ったことであっても、やり方を間違えるとパワハラとみなされてしまうケースがありますので注意しましょう。

パワハラではなく「指導」と考えられる事例

では次に、パワハラではなく「指導」と考えられる事例をいくつか紹介していきます。

居残りをさせる

宿題を忘れてきた生徒に居残りをさせたり、テストで赤点を取った生徒を居残りさせたりする行為は、パワハラではなく「懲戒」と判断される可能性が高いです。

これらは、あくまでも生徒自身に反省を促すための行為であり、立場を利用したいじめや嫌がらせではありません。

ただし、

・トイレに行かせない

・居残り中ずっと罵声を浴びせる

など、不必要な言動や行動をとった場合は、パワハラになることもありますので注意してください。また、保護者へ説明しておくことも大切です。

特定の生徒を起立させる

授業中に特定の生徒を起立させるのも、パワハラではなく懲戒の範囲内とされるケースが多いです。

例えば、

・私語をやめなかった生徒を起立させる

・宿題を忘れてきた生徒を起立させる

などです。

ただし、これはあくまでも「正当な理由があった場合」の話であり、無意味に生徒を起立させたり、公衆の面前で罵声を浴びせたりするとパワハラになることがあります。

清掃活動を課す

ペナルティとして生徒に清掃活動を課したり、学校当番を多く割り当てたりすることも、懲戒の範囲内と判断されることが多いです。

ただし、肉体的苦痛を伴わないものに限ります。

例えば、通常5名で行っている給食当番を1人に担当させたり、清掃活動の際に重たいバケツを全て1人に運ばせたりするのは、パワハラになる可能性がありますので注意しましょう。

パワハラではなく正当防衛に該当すると考えられる事例

基本的に、教師が生徒に対して有形力を行使した場合、体罰(パワハラ)とみなされます。

ただし、

・生徒が教師に対して暴力を行い、教師が身を守るためにやむを得ず有形力を行使した場合

・生徒が反抗して暴れたため、教師が生徒の背後に回って体を押さえた場合

など、やむを得ない理由がある場合は「正当防衛」としてみなされることもありますので、ぜひ覚えておいてください。

まとめ

学校をはじめとする教育現場では、パワハラやその他のスクールハラスメントが問題視されています。

教師には懲戒権が認められていますが、中には懲戒権とパワハラの違いを理解しておらず、パワハラとなる言動や行動を「指導」と捉えてしまっている教師も存在しています。

学校におけるパワハラを防ぐには、教師をはじめとする学校関係者が一丸となり、懲戒とパワハラの定義や違いについて理解を深めていかなければなりません。

何がパワハラで、何が指導なのかをはっきりさせておかないと、生徒のためを思って言ったこと、やったことがパワハラとみなされてしまう可能性が高くなりますので注意しましょう。

弊社では、代表の宮本剛志が長年多くの学校関係者の方々と体罰防止のための研修を実施しております。お気軽にご相談ください。

参考資料

教員の仕事と意識に関する調査

学校教育法第11条に規定する児童生徒の懲戒・体罰等に関する参考事例

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https://mental-link.co.jp/wp/service/training/power_harrasment_measure/

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