2024年04月09日
ハラスメント
従業員が快適に働ける職場を作るためには、ハラスメントへの対策は避けては通れません。
中でも「パワハラ」は、どのような職場でも起こる可能性があり、仮にパワハラが横行する会社になってしまうと、社会的なイメージも低下しますし、当然従業員の満足度も低下してしまいます。
そこでこの記事では、パワハラが起こりやすい職場や、パワハラをしやすい上司の特徴をいくつか紹介していきます。
経営者や幹部陣が行うべきパワハラ対策のコツについても紹介していきますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
パワハラとは、パワーハラスメントの略称です。厚生労働省は、パワハラの定義を以下のように制定しています。
職場におけるパワーハラスメントは、職場において行われる
① 優越的な関係を背景とした言動であって、
② 業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、
③ 労働者の就業環境が害されるもの
であり、①から③までの3つの要素を全て満たすものをいいます。
なお、客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指
導については、職場におけるパワーハラスメントには該当しません。
(参考:厚生労働省 職場におけるパワーハラスメント対策が事業主の義務になりました!)
具体的には、以下のような行為がパワハラに該当します。
・身体的な攻撃
・精神的な攻撃
・人間関係からの切り離し
・過大な要求
・過少な要求
・個の侵害
では次に、パワハラが起こりやすい職場の特徴について、詳しく見ていきましょう。もし、これらの特徴が当てはまっている場合は職場環境の改善を検討する必要があります。
パワハラは、加害者の心に余裕がなくなったことによって起こるケースがあります。
ミスが許されない風潮の職場は、上司もミスに対して過剰な反応を見せることがあり、それが部下への「パワハラ」に変化してしまうのです。
ミスというのは悪いことではなく、従業員が成長するために必要不可欠なものです。
ミスが許されない風潮、あるいはミスに対してネガティブなイメージを持つ会社になってしまっている場合は、速やかに意識改革を行いましょう。
ノルマが厳しい会社では、パワハラが起こりやすいです。
例えば、販売ノルマが厳しい営業職などは、社員同士の競争も激しく、ピラミッド型の組織になるため職場がギスギスしやすくなります。
このような状態だと、良好な人間関係の構築が難しくなるため、結果としてパワハラが起こりやすくなるのです。
世の中には、アットホームな会社とビジネスライクの会社があります。
どちらにもメリット、デメリットがありますので、一概に優劣をつけることはできません。
ただ、どちらかというと「ビジネスライク」の会社の方がパワハラに繋がりやすいといえます。
なぜなら、部下と上司のコミュニケーションが十分でないケースが多いからです。
コミュニケーションが取れていないと、行き違いや勘違いなどが起こりやすく、結果としてパワハラに繋がりやすくなります。
また、調査によるとパワハラが発生する職場の特徴1位は、「上司と部下のコミュニケーションが少ない/ない」職場です。
(参考:令和2年度厚生労働省委託事業 職場のハラスメントに関する実態調査報告書)
業務におけるマニュアルやルールが整備されていない職場も、パワハラが起こりやすいです。
なぜなら、全てが上司の一存に委ねられてしまうからです。
また、このような職場は業務における生産性や効率も低下しやすくなり、最悪の場合業務が回らなくなってしまうこともありますので、早急にマニュアルの整備やルールの制定を行いましょう。
先ほども解説したように、心に余裕を持てなくなるとパワハラが起こりやすくなります。
残業が多すぎる職場や、休みがとりにくい職場は、上司を含む従業員に心の余裕がなくなり、それがきっかけでパワハラに発展しやすくなるのです。
従業員1人あたりの業務量が多すぎると、自然と残業が増えてパワハラが起こりやすい環境になってしまうため、それぞれのキャパシティを考えながら仕事を任せるようにしましょう。
会社がパワハラ対策をしていても、上司にそれが伝わっていなければパワハラが横行する職場になってしまいます。
以下、パワハラしやすい上司の特徴について詳しく解説していきます。
感情のコントロールが苦手な人は、パワハラをしやすいです。
よくあるのが、部下の失敗を見て怒りの感情をおさえきれず、すぐに怒鳴ってしまうというようなケースです。
また、感情の起伏が激しく、その日の気分によって優しくなったり、きつくなったりすることもあります。
このような上司が職場にいると、心理的安全性が低下し、会社全体の評価や業績が落ちる可能性が高くなりますので注意しましょう。
パワハラは、自分の意見や考えを押し付けるための手段として行われることもあります。
このような方は、基本的に自分の意見や考えが全て正しいと思っていて、自分の意見や考えに反する行動を取られると怒りの感情が抑えられなくなる傾向にあり、結果としてパワハラをしやすくなってしまうのです。
「自分のせいではない」という考えを持っている他責思考の上司も、パワハラをしやすいといえます。
というのも、他責思考の上司は会社や業務に対して不満を抱えている可能性が高く、ストレスのはけ口として部下に八つ当たりをしてしまうのです。
完璧主義の方は、部下にも自分と同じレベルでの仕事を求める傾向にあるため、パワハラをしてしまう可能性が高いです。
細かいことで文句をいったり、過去の失敗を根に持ったりするケースもあり、結果として会社にとってマイナスの人材になってしまうケースもあります。
パワハラを食い止めるためには、原因がどこにあるのかを明確にする必要があります。
基本的に、パワハラは行った本人が一番悪いのですが、その原因は「会社」にある可能性が高いです。
先ほども解説したように、マニュアルやルールが制定されていなかったり、上司の行動を把握していなかったりと、会社の管理不行き届きが原因でパワハラに繋がってしまうケースもあります。
経営者が部下である管理職などにパワハラの責任を転嫁してしまうと、いつまで経ってもパワハラ解消には繋がりませんので注意してください。
パワハラは、思っている以上に会社に対してマイナスの影響を与えます。
以下、パワハラが引き起こすトラブルについて詳しく見ていきましょう。
パワハラが横行すると、従業員のモチベーションや生産性が著しく低下します。
その結果、生産性や効率の低下に繋がり、売上や利益にも影響が出てしまうのです。
一度パワハラが横行すると、それを食い止めるのには物凄く時間がかかりますので、できるだけ早く環境整備を行う必要があります。
職場でパワハラが横行すると、その現状が取引先や顧客などにも漏れてしまい、会社のイメージが低下する可能性があります。
また、求職者からのイメージが低下する可能性も高く、求人を出しても全く人が集まらないという状況に陥ることもありますので注意が必要です。
パワハラを食い止めるために、経営者や管理職が行うべきこととは一体何なのでしょうか。
ここからは、すぐにできるパワハラ対策をいくつか紹介していきます。
パワハラをはじめとするハラスメントを食い止めるためには、ひとまずハラスメントに対する意識や方針を経営者や管理職が制定し、それを従業員に周知しなければなりません。
特に、従業員が多い場合は全員の意識を同じ方向に向ける必要がありますので、わかりやすいマニュアルや方針を設定し、全員に伝わる方法で周知することが大切です。
パワハラは、部下から上司に行われるケースもありますが、基本的には上司が部下に対して行うことが多いです。それは様々な調査結果からも明らかです。
管理職研修を徹底的に行い、パワハラをはじめとするハラスメントへの意識付けを徹底することにより、上司がパワハラに対して正しい認識や考えを持てるようになるため、パワハラ対策に繋げやすくなります。その後、認識を合わせるためにも非管理職対象の研修が必要です。
規模の大きな会社であれば、相談窓口を設置するのがおすすめです。
というのも、パワハラは上司から部下に対して行われることが多いため、仮に被害に遭っていたとしても、それを誰に相談すればいいかわからないという状況に陥ってしまうケースがほとんどです。
相談窓口を設置することにより、従業員がパワハラについて気軽に相談できる環境を構築できるため、心理的安全性を維持しやすくなります。
既に相談窓口を設定しているにも関わらず「全く相談がない」会社は要注意です。「情報が洩れるのではないか」「どうせ相談しても変わらない」と思われている可能性があります。
相談窓口でできること、守秘義務が守られること、誰が受け付けてくれるのか等を定期的に発信し、安心してもらいましょう。
繰り返しになりますが、パワハラは心の余裕と深く関係しています。
普段は温厚でも、心の余裕がなくなったことにより豹変し、パワハラを行ってしまうという方も少なくありません。
このような事態を避けるためにも、勤労状況や労働環境を見直し、部下を持つ管理職をはじめとする従業員全員が快適に働ける会社を作っていきましょう。
従業員同士のコミュニケーションを活性化することにより、上司と部下がお互いに理解を深められるようになるため、パワハラを防止しやすくなります。
そのために、以下の取り組みを行うことによって、組織あるいはチームとしての団結力が高まり、結果としてパワハラを食い止めやすくなります。
パワハラが起こりやすい職場には、いくつか共通する特徴があります。
今回紹介した特徴に1つでも当てはまってしまった場合、職場として非常に危険な状態にあるといえますので、早急に方針の制定や意識改革を行っていきましょう。
経営者や幹部がパワハラ防止の意識を持ち、それを行動に移していれば自ずとその考え方が従業員に伝わり、心理的安全性の高い職場を作れるようになります。
逆に、経営者や幹部がパワハラに対して無関心だったり、責任転嫁をしたりすると、職場環境がますます悪くなってしまいますので注意してください。
メンタルリンクでは、今回の記事に関連した研修を行なっております。
詳しくは、以下をご覧ください。
【管理職向け】心理的安全性研修
https://mental-link.co.jp/wp/service/training/psychological_safety/
※心理的安全性が高い職場をつくるためには何をすればいいのかワークを通して理解できます。
【管理職向け】パワハラ防止研修
https://mental-link.co.jp/wp/service/training/power_harrasment_prevention/
※感情コントロールを身に付けることができます。
【全社員向け】パワハラ対策研修
https://mental-link.co.jp/wp/service/training/power_harrasment_measure/
【全社員向け】タイプ別コミュニケーション研修
https://mental-link.co.jp/wp/service/training/egogram/
※心理診断をもとにタイプ別にどのようなコミュニケーションを取るとより良い関係を築くことができるようになるのか理解し、実践することができます。