パワハラ上司の特徴7選!効果的なパワハラ対策も徹底解説!

ハラスメント

部下に対してパワハラをする上司には、いくつか共通する特徴があります。

社内でのパワハラを根絶するためには、経営陣がパワハラ上司の特徴をしっかりと理解することが大切です。

そこで今回は、パワハラ上司に共通する特徴と、企業側ができるパワハラ対策について詳しく解説していきます。

過去に「パワハラが起こりやすい職場・上司の特徴9選!パワハラ対策のコツも紹介!」というコラムを書いておりますが、今回はパワハラを起こしやすい上司に絞り、より深掘りをして解説をいたします。

よりクリーンな企業、あるいは働きやすい企業を作っていきたいと考えている方は、ぜひチェックしてみてください。

パワハラの定義は?

パワハラとは、パワーハラスメントの略称です。厚生労働省は、パワハラの定義を以下のように制定しています。

パワーハラスメントは、職場において行われる

① 優越的な関係を背景とした言動であって、

② 業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、

③ 労働者の就業環境が害されるもの

であり、①から③までの3つの要素を全て満たすものをいいます。

なお、客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については、職場におけるパワーハラスメントには該当しません。

厚生労働省:労働施策総合推進法の改正(パワハラ防止対策義務化)について

具体的には、以下のような行為がパワハラに該当します。

・身体的な攻撃

・精神的な攻撃

・人間関係からの切り離し

・過大な要求

・過小な要求

・個の侵害

上記の6つは詳しくは後述いたします。

パワハラ上司の特徴

パワハラ上司には、以下のような特徴があります。

・感情のコントロールができない

・自分の評価だけを気にしている

・自分は優秀だと思い込んでいる

・他責思考

・完璧主義

・コミュニケーションが一方通行

・権力を誇示する

それぞれについて、詳しく見ていきましょう。

感情のコントロールができない

パワハラをする上司は、感情のコントロールが苦手な傾向にあります。

怒りの感情をうまくコントロールできないため、些細なミスで怒鳴ったり、自分の思い通りに行かないだけで機嫌が悪くなったりしてしまうのです。

自分の評価だけを気にしている

自分の評価だけを気にしている上司は、部下の行動によって自分の評価が下がることを極端に嫌います。

そのため、部下に自分と違う意見や考えを提示されたときや、部下がミスをしたときなどに怒りの感情が表に出やすくなり、結果としてパワハラに繋がってしまうのです。

自分は優秀だと思い込んでいる

自分のことを優秀だと思い込んでいる上司は、プライドが高い傾向にあります。

また、地位や評価を極端に気にする傾向にあるため、パワハラをしがちです。

中には、自分の優秀さを周囲にアピールしようとする人もいます。

このようなタイプは、部下をはじめ、自分より地位が下の人間を見下す態度を取ることも多いです。

他責思考

全ての責任を部下や周りのメンバーに押し付ける上司は、知らず知らずのうちにパワハラをしてしまうことがあります。

他責思考の上司は、何か問題が起こったときに「自分に責任は一切ない」と考える傾向にあり、その矛先が部下に向いてしまうのです。

中には「知らなかった」「聞いていない」という理由で、責任を部下に押し付ける上司もいます。

完璧主義

全てにおいて完璧を求める上司も、パワハラをしがちです。

完璧主義の人は、仕事におけるパフォーマンスが高いことが多く、自分と同じレベルの仕事を部下にも求めます。

その結果、仕事や成果に対して細かく口を挟んでしまうのです。

このタイプは、とにかく細かく指示出しをしたり、簡単な仕事しか与えないといった行動を取ったりすることも多く、部下が成長しない要因にもなります。また、マイクロマネジメントをする傾向にもあり、部下が疲弊することがあります。

コミュニケーションが一方通行

コミュニケーションが一方的で、部下の意見や感情を無視する上司も、パワハラをしやすい傾向があります。

このタイプの上司は、自分の考えや指示を押し付けることが多く、部下が反論したり意見を述べたりする場を与えません。

つまり、部下の話を聴かない、傾聴力が不足している上司といえます。考えや指示を押し付けるだけではなく、部下が話しかけても反応しない、上司が一方的にしゃべり、コミュニケーションを取っているつもりになっていることがあります。

結果として、部下は萎縮し、職場での信頼関係が崩れてしまいます。さらに、部下の意欲や能力が低下する要因にもなります。

権力を誇示する

自分の地位や権限を強調して、部下を従わせようとする上司も、パワハラをしがちです。

このタイプは、過剰な命令口調や高圧的な態度を取ることが多く、部下に過度なプレッシャーを与えます。

その結果、部下は恐怖心から意見を述べられなくなり、ストレスを感じながら仕事をすることになり、職場の雰囲気が悪化し、生産性の低下につながるケースもあります。

上司からのパワハラは6種類に分類できる

上司からのパワハラは、以下6種類に分類できます。

・身体的攻撃型パワハラ

・精神的攻撃型パワハラ

・人間関係からの切り離し型パワハラ

・過大要求型パワハラ

・過小要求型パワハラ

・個の侵害型パワハラ

それぞれについて、詳しく見ていきましょう。

身体的攻撃型パワハラ

ミスをした部下や、気に入らない部下に対して殴る、蹴るの暴行を加える行為のことです。

身体的攻撃は、パワハラに該当するだけでなく、暴行や傷害として刑事事件に発展する極めて悪質な行為ですので、しっかりと対策をしていかなければなりません。

精神的攻撃型パワハラ

直接危害を加えるのではなく、言葉の暴力で部下を傷つける行為です。

「この給料泥棒が」

「生きている価値がない」

「仕事が終わるまで絶対に帰るな」

このような言動は、精神的攻撃型パワハラに該当します。

人間関係からの切り離し型パワハラ

周囲の人間と意図的に切り離したり、特定の部下にだけ仕事を与えなかったりする行為です。

その他、

・無視

・会社の連絡事項を伝えない

といった行為も、切り離し型パワハラに該当します。

過大要求型パワハラ

明らかに実現不可能なノルマを与えたり、現実的に達成不可能な仕事を与えたりする行為のことです。

過大要求をして部下を困らせたり、退職に追い込もうとしたりする目的で行われることもあります。

過小要求型パワハラ

一日中コピーだけを取らせたり、特定の部下だけプロジェクトに参加させなかったりする行為を指します。また、管理職に電話番のみさせるような行為も該当する可能性があります。

個の侵害型パワハラ

プライベートのことを執拗に質問したり、業務時間外に仕事と関係のない連絡をしたりする行為です。

主に男性から女性に対して行われることが多く、パワハラだけでなくセクハラに該当するケースもあります。

パワハラ根絶に効果的な対策3選

働きやすい企業を作り上げるためには、経営者や幹部陣がパワハラに関心を持ち、企業全体としてパワハラ根絶に向けて歩みを進めていかなければなりません。

とはいえ、

「どうすればパワハラのない企業を作ることができるのかわからない」

と悩んでいる方も多くいるでしょう。

そのような場合は、以下のような対策を実施してみてください。

・パワハラ防止のための研修を実施する

・定期的に社内調査を実施する

・経営陣との定期ミーティングを実施する

パワハラ防止のための研修を実施する

社内のパワハラを根絶するためには、パワハラに関する規定を定めて周知するだけでなく、定期的に管理職を対象とした研修を実施するのがおすすめです。

そこでどのような行為がパワハラになるのか、社内でパワハラが起こるとどうなるのかを伝えることにより、上司のパワハラを防ぎやすくなります。

また、自己チェックリストや心理テストを使い、自己理解を促進するような内容も必要になります。なぜなら、パワハラをする管理職は自覚がありません。「パワハラするぞ」とは誰も思っていなく、良かれと思って行ったことがパワハラに発展しがちです。

定期的に社内調査を実施する

パワハラの実態を正確に把握するためには、定期的に社内を調査するのがおすすめです。

社内調査の方法として代表的なのが、アンケートです。

ただ、記名式のアンケートだと正直に回答しにくいため、匿名で記入してもらいましょう。

そうすることによって、パワハラの実態を調査できるだけでなく、その他の問題点も見えてくるようになります。

念のため、「具体的に相談したい方は、名前を記入してください。秘密は守ります」と付け加えておきましょう。名前をオープンにしてでも相談したい従業員への対応につながります。

経営陣との定期ミーティングを実施する

パワハラを防ぐためには、管理職を徹底的に教育するだけでなく、しっかりとフォローすることが大切です。

なぜなら、パワハラをする上司は仕事や会社に対して不満やストレスを抱えていることが多いからです。

部下を束ねる管理職と経営陣が定期的にミーティングを行うことにより、管理職の心のケアが行えるようになるため、パワハラを防ぎやすくなります。

その際、経営陣がパワハラやパワハラに近い行為を管理職に行わないように心掛けてください。パワハラが連鎖してしまいます。

まとめ

職場でのパワハラは、従業員の心身の健康の悪化や企業の生産性やイメージの低下に繋がる重大な問題です。

今回紹介した特徴に当てはまる上司は、部下に対してパワハラを行う可能性が高いため、企業側が事前にしっかりと対策をしておかなければなりません。

経営陣がパワハラについて深く考えていなかったり、対策を怠ったりすると、離職率の増加や悪評の拡散など、思わぬ事態に繋がることもあります。

このような事態を避け、働きやすい企業を作り上げるためにも、先ほど紹介した対策を実施しつつ、パワハラ根絶に向けて歩みを進めていきましょう。

関連研修

メンタルリンクでは、今回の記事に関連した研修を行なっております。
詳しくは、以下をご覧ください。

【管理職向け】心理的安全性研修
https://mental-link.co.jp/wp/service/training/psychological_safety/
※心理的安全性が高い職場をつくるためには何をすればいいのかワークを通して理解できます。

【管理職向け】パワハラ防止研修
https://mental-link.co.jp/wp/service/training/power_harrasment_prevention/
※感情コントロールを身に付けることができます。

【全社員向け】パワハラ対策研修
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【全社員向け】タイプ別コミュニケーション研修
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※心理テストをもとにタイプ別にどのようなコミュニケーションを取るとより良い関係を築くことができるようになるのか理解し、実践することができます。

この記事を書いた人

公認心理師/シニア産業カウンセラー

宮本剛志

株式会社メンタル・リンク 代表取締役 教育関係の企業(ベネッセグループ)で事業所や相談室の責任者を経験。その後、カウンセラー・研修講師として独立。研修・講演は年間約155回、カウンセリングは年間のべ275人。 複数の組織でハラスメント防止委員会の委員を務めるなど社外でも活動している。「怒る上司のトリセツ(時事通信社)」「週刊ダイヤモンド(2020年5月16日号)」など書籍・メディア掲載も多数。

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