心理的安全性の高い職場を作るためのポイント8選!おすすめの対策も紹介!

コミュニケーション

Googleが研究結果を発表して以来、世界中で注目されているのが「心理的安全性」です。心理的安全性が高い職場は、生産性が高くなると言われています。

とはいえ、

「どうすれば職場の心理的安全性を高められるのかわからない」

と悩んでいる経営者、あるいは担当者の方もたくさんいるでしょう。

そこでこの記事では、心理的安全性の高い職場を作るためのポイントやおすすめ施策について詳しく解説していきます。

心理的安全性とは?

心理的安全性とは、1999年にハーバード大学の組織行動学研究者のエドモンドソン教授によって提唱された概念で、

「誰でもが安心して発言し、自由に行動できる状態」

のことを指します。

私は様々な企業と共に心理的安全性の推進に取り組んできた結果、以下のように定義しております。

「お互いを承認し、健全なディスカッションができる状態」

その真逆な状態が、心理的非安全性です。

例えば、部下が「上司に意見すると、上司に怒られるかもしれない」「提案すると丸投げされるのではないか」と思い黙ってしまう状態

上司が「部下を注意すると、部下が機嫌損ねてしまうかもしれない」「叱るとパワハラと言われてしまうのではないか」と思い我慢してしまう状態

のことです。上司も部下もお互いを理解し合い、建設的で率直なやり取りができる状態こそ、心理的安全性と言えます。

2016年にはGoogleから、

「心理的安全性が高まると、チームのパフォーマンスが向上する」

という研究結果が発表されました。

心理的安全性の高い職場では、わからないことを質問したり自分の考えを発表したり、といったコミュニケーションが活発に行われます。

その結果、それが生産性の向上につながると言われているのです。

心理的安全性の高い職場を目指すべき理由

そもそも、なぜ心理的安全性の高い職場を目指さなければならないのでしょうか。

その理由について、詳しく解説していきます。

個々のパフォーマンスが向上する

心理的安全性が高い職場には、トラブルや悩みが発生したときに、周りに相談しやすい「風通しの良さ」があります。

そういった職場では、

・問題を素早く解決できる

・個々が仕事に集中しやすくなる

・良好な人間関係を維持しやすくなる

というような効果を得られますので、結果として会社全体のパフォーマンスが向上するのです。

定着率が上がる

心理的安全性が高くなると、以下のような悩みを解決できるようになり、職場の居心地が良くなります。

・将来への不安

・上司への不満

・やりがいが感じられない

その結果、定着率が上がりやすくなるのです。

「誰もが安心して発言できる」環境では、周りの目を気にせず自分の意見を発信できるため、仕事へのやりがいもアップし離職者が減りやすくなります。

社内の不正や問題の早期発見に繋がる

心理的安全性が低い職場では、自分の意見を発信しにくく、コミュニケーション不足になりがちです。

それに対して心理的安全性が高い職場では、コミュニケーションが活発に行われるため、間違いや行き違い、不正などの情報も共有されやすくなります。

このようなことから、問題の早期発見に繋がりやすく、大きなトラブルに発展する前に対処できる可能性が高くなるのです。

イノベーションが生まれやすくなる

発言が自由にできる環境では、革新的な発想や考え方(イノベーション)が生まれやすいと言われています。

チームのメンバーが、それぞれの個性を活かした意見を出し合うことで、イノベーションが生まれやすくなるのです。

・新商品の開発

・新市場の開拓

・経営戦略の刷新

・業務フローの見直し

などのイノベーションを生み出すきっかけの一つとして、現在では、多くの企業で心理的安全性が注目されています。

職場の心理的安全性が低いとどうなる?

職場の心理的安全性が低いと、どのような影響が現れるのでしょうか?

社員のモチベーションが低下する

心理的安全性が低い職場は、

「意見を言っても聞いてもらえない」

「とりあえず、言われた通りにやっておけばいい」

という空気になりがちです。

その結果、仕事に対するモチベーションが低下してしまうのです。

トラブルへの対処が遅れる

心理的安全性が低い職場では、失敗や小さなトラブルが発生したときに、

「怒られそうで怖い」

「どうせ聞いてくれない」

という心理が働きやすくなります。

その結果、上司に報告や相談をしない社員が出てくることも。

このように、報連相がおざなりになると、トラブルが発生したときに対処が遅れてしまいます。

小さな問題であっても、初動が遅れると、大きなトラブルに発展する可能性が高くなりますので注意しましょう。

会社全体の生産性や効率が落ちる

職場の心理的安全性が低下すると、社員のやりがいや熱意も薄れていくため、会社全体の生産性や効率が落ちてしまいます。

そうなると、業績の悪化にも繋がりやすくなります。

その結果、給与や賞与にも影響が出やすくなり、さらに社員の士気が下がるという悪循環に陥る可能性が高くなるのです。

職場の心理的安全性を高めるのにおすすめの対策4選

ここからは、職場の心理的安全性を高めるために役立つ対策を4つご紹介します。

1on1ミーティング

風通しの良い職場を作るために役立つのが、1on1ミーティングです。

1on1ミーティングとは、上司と部下が1対1で行うミーティングのことを指します。

1回につき、15〜30分程度のミーティングを週に1回や月に1回のペースで繰り返し、コミュニケーションを深めるのがおすすめです。

また、ミーティングを行う際は、聴き役に徹する必要があります。傾聴力がポイントです。

そうすることによって、何かあれば上司が話を聞いてくれるという環境が整い、職場の心理的安全性が高まりやすくなるのです。

オフィスのレイアウト変更

多くのオフィスでは、部署やチームごとにデスクを集めるレイアウトが採用されています。このようなレイアウトは、チームメンバーでコミュニケーションを取るには便利ですが、他の社員との壁ができてしまうこともあります。

そのため最近では、部署や役職に縛られずに、いろんな人とコミュニケーションが取れるようにレイアウトを見直す会社が増えてきました。

例えば、

・フリーアドレスを導入する

・カフェスペースやオフィスラウンジを設置する

といった工夫です。

いろんな人とコミュニケーションを取り、意見を交換したり、情報を共有したりする機会が増えれば、心理的安全性を高めやすくなります。

テレワークから出社に移行している企業も増えてきましたので、この機会にレイアウトを考え直すこともお勧めします。

ピアボーナス

ピアボーナスとは、社員同士で相手を賞賛し報酬を贈り合う仕組みのことで、アプリなどのツールを使用して導入する企業もあります。

他の社員の仕事の成果や、普段の行動などを評価して、褒めたい相手に少額の報酬やポイント、社内通貨などを贈ります。

ピアボーナスを導入することによって、自然と社員同士がお互いを認め合うようになるため、心理的安全性を高めやすくなります。

タイプ別コミュニケーションの習得

心理的安全性のキーポイントの一つは、自分と違う価値観や考え方、働き方であることを理由に、職場のメンバーを否定する人がいないことです。

違いは間違いではありません。

様々なタイプの人が集まっている集団が企業です。

自分や他者のタイプ別にどのようなコミュニケーションを取ると良いのか考えるきっかけを作るような研修も心理的安全性を高めるきっかけになります。

職場の心理的安全性を高めるために経営者が意識すべきポイント4選

職場の心理的安全性を高めるために、経営者はどんな点に注意すべきなのでしょうか? 以下、4つのポイントを紹介します。

多様な価値観を受け入れる努力をする

職場には、さまざまな価値観の人が集まっています。

職場の心理的安全性を高めるためには、一人ひとりの価値観を受け入れることが大切です。

価値観を受け入れられると、社員は「認められている」「この職場に必要とされている」と感じます。

中には、理解し難い価値観を持つ人がいるかもしれません。

それを否定せず、相手の考えに耳を傾けることで、会社全体の心理的安全性を高めやすくなります。

実施した施策の効果測定を行う

心理的安全性を高めるための施策を行ったときには、その都度効果測定をして振り返る必要があります。

職場の心理的安全性のレベルを確認する際には、心理的安全性という概念を最初に提唱したエドモンドソン教授による質問リストを活用するのがおすすめです。

・チームの中でミスをすると​​、たいてい非難される。

・チームのメンバーは、課題や難しい問題を指摘し合える。

・チームのメンバーは、自分と異なるということを理由に他者を拒絶することがある。

・チームに対してリスクのある行動をしても安全である。

・チームの他のメンバーに助けを求めることは難しい。

・チームメンバーは誰も、自分の仕事を意図的におとしめるような行動をしない。

・チームメンバーと仕事をするとき、自分のスキルと才能が尊重され、活かされていると感じる。            

参照:Google re:Work 心理的安全性を高める

さらに、心理的安全性が高い職場では、

・ポジティブな発言が多い

・ミスや失敗について意見交換が行われている

・職場に笑いやユーモアがある

という特徴があります。

実施した施策に効果があったのかどうかを判断する際の参考にしてみてください。

上層部や部門のリーダーから教育を始めていく

会社全体の心理的安全性を向上させるには、上層部や部門のリーダーへの教育を徹底して行う必要があります。

・心理的安全性とは何か

・どうやって心理的安全性が高い組織を目指すのか

・最終的にはどんな組織を作りたいのか

など明確な展望を持ち、心理的安全性を高めるための方向性をしっかりと定めることが大切です。

トラブルをポジティブに捉える癖をつける

トラブルが発生したときはポジティブに捉え、積極的に意見を出し、行動を起こしましょう。

特に経営者は、率先してポジティブな言動を社員に見せてください。

そうすることによって、幹部を含めた社員全体にポジティブマインドが浸透していきますので、職場の心理的安全性を高めやすくなります。

まとめ

職場の心理的安全性が高まると、仕事のパフォーマンスが上がったりトラブルを早期解決できたりといった良い変化が現れます。

業績や定着率の向上のためにも、ぜひ意識していきたいですね。

心理的安全性の高い職場を作るためには、ある程度時間がかかるかもしれません。

そのため、長期視点を持ち、ツールの活用やレイアウトの変更を取り入れながら、全社員が働きやすいと感じる環境を整えていきましょう。

関連研修

メンタル・リンクでは、今回の記事に関連した研修を行なっております。
詳しくは、以下をご覧ください。

【管理職向け】心理的安全性研修

https://mental-link.co.jp/wp/service/training/psychological_safety/

【管理職向け】本物の傾聴力研修

https://mental-link.co.jp/wp/service/training/listening/

【全社員向け】タイプ別コミュニケーション研修

https://mental-link.co.jp/wp/service/training/egogram/

この記事を書いた人

公認心理師/シニア産業カウンセラー

宮本剛志

株式会社メンタル・リンク 代表取締役 教育関係の企業(ベネッセグループ)で事業所や相談室の責任者を経験。その後、カウンセラー・研修講師として独立。研修・講演は年間約155回、カウンセリングは年間のべ275人。 複数の組織でハラスメント防止委員会の委員を務めるなど社外でも活動している。「怒る上司のトリセツ(時事通信社)」「週刊ダイヤモンド(2020年5月16日号)」など書籍・メディア掲載も多数。

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