2024年11月19日
コミュニケーション
働き方や企業のあり方が大きく変化している昨今においては、ウェルビーイング経営に注目が集まっています。
ウェルビーイング経営は、既にヨーロッパをはじめとする各国で導入されている経営手法であり、近年では日本の企業でも導入され始めています。
この記事を見ている経営者の方、あるいは担当者の方の中にも、ウェルビーイング経営について気になっている方がたくさんいらっしゃるかもしれません。
そこで今回は、ウェルビーイング経営の定義や導入のメリット、具体的な取り組み方について詳しく解説していきます。
目次
ウェルビーイングとは、身体的・精神的・社会的に健康であり、満たされた状態のことです。
この概念は、1946年からWHO憲章の中でも謳われている概念であり、現在においては日本をはじめとする世界各国で取り入れられています。メンタルヘルスの研修等でも聞いたことがあるかもしれません。
そんなウェルビーイングには、以下2つの種類があります。
・主観的ウェルビーイング
・客観的ウェルビーイング
主観的ウェルビーイングとは、幸福度や満足度などを本人が自己評価したものです。
対象者にヒアリングを行い、その結果をもとに数値化していくことが一般的です。
一方、客観的ウェルビーイングは平均健康寿命や正規雇用者比率など、客観的な指標を用いてウェルビーイングを測ります。
近年では、主観的ウェルビーイングが注目を集めており、多くの企業が従業員の主観的ウェルビーイングを向上させるべく、様々な取り組みを行っています。
では次に、ウェルビーイング経営が注目されている背景について、詳しく見ていきましょう。
少子高齢化や働き方改革などにより、現在では企業の人手不足が問題視されています。
従業員の幸福度や満足度、つまりウェルビーイングを向上させることにより、魅力ある職場だと思う従業員が増えるため、退職防止につながります。
また、ウェルビーイングの向上によって働きやすい職場であるという評判が高まれば、新卒入社や中途入社の希望者が増えることが考えられます。
その結果、人手不足を解消することができるのです。
このようなことから、業種や規模を問わず、多くの企業がウェルビーイング経営に乗り出しているのです。
一昔前と比べて働き方が大きく変化していることも、ウェルビーイング経営に乗り出す企業が増えている理由の1つです。
現在においては、
・長時間労働の是正
・テレワーク制度の導入
・フレックスタイム制度の導入
など、様々な働き方改革が行われており、かつての働き方や仕事に対する考え方が通用しない時代となっています。
ウェルビーイング経営を導入することによって、従業員の満足度やワークライフバランスの向上につなげられるため、よりクリーンで快適な労働環境を構築できるようになるのです。
ウェルビーイングは、持続可能な開発目標である「SDGs」の目標の1つとして掲げられています。
SDGsには、17の目標が掲げられているのですが、3つ目に「すべての人に健康と福祉を」という項目があり、これがまさにウェルビーイングに該当します。
このようなことも、各企業がこぞってウェルビーイング経営に乗り出している理由の1つです。
では次に、ウェルビーイング経営を導入するメリットについて詳しく見ていきましょう。
ウェルビーイング経営を導入し、快適に働ける環境を構築できれば、従業員のモチベーションややる気を引き出しやすくなります。
その結果、生産性の向上につなげやすくなるのです。
また、欠勤や休職の減少にもつなげられるため、より効率的な仕組み、より強固な組織を作り上げられます。
多くの企業は、人材確保や離職率の高さに悩んでいます。
先ほども解説したように、現在の日本では業種問わず人材不足が問題視されており、実際に「1人でも従業員が欠けると仕事が回らなくなる」といった事態に陥っている企業も多いです。
ウェルビーイング経営を導入することにより、従業員の満足度が向上するため、人材確保や離職率の防止につなげやすくなります。
ウェルビーイング経営を導入することによって、SDGsの推進につながります。
SDGsを意識することにより、従業員だけでなく取引先や投資家、顧客などから良いイメージを持ってもらえるため、結果として企業の信頼度を高めやすくなるのです。
ウェルビーイング経営と聞いて、従業員に向けた施策だと考える方も多いですが、取引先や投資家、消費者など社外に対してもアプローチできる施策ですので、ぜひ導入してみてください。
そんなウェルビーイングは、以下5つの要素で構成されています。
1.キャリアウェルビーイング
2.ソーシャルウェルビーイング
3.ファイナンシャルウェルビーイング
4.フィジカルウェルビーイング
5.コミュニティウェルビーイング
それぞれの要素について、詳しく見ていきましょう。
キャリアウェルビーイングとは、キャリアに対する幸福度や満足度を表した指標です。
キャリアと聞いて「仕事」「出世」などをイメージする方も多いですが、ここではプライベートの時間も含めた総合的なキャリアを指しています。
キャリアウェルビーイングを高めるためには、従業員一人ひとりの意識だけでなく、企業側の配慮や施策も重要です。
例えば、
・休日を増やす
・給料を上げる
といった取り組みを行うことによって、従業員がプライベートの時間を充実させやすくなります。
例えば、子育てや介護での休日を法律で定められている日数を変えて増やしている企業も増えています。
最近では、子育てや介護、留学等で休む従業員から仕事を引き継いだ従業員に対して一時金等の手当てを導入しはじめる企業も出てきました。
その結果、お互いが休みを取りやすくなり、キャリアウェルビーングが高まったケースもあります。
ソーシャルウェルビーイングとは、人間関係に関する幸福度や満足度を表した指標です。
仕事を遂行するためには、少なからず誰かとコミュニケーションを取らなければならず、人間関係が円滑でなければ快適かつスムーズに仕事を進められません。
例えば、パワハラが横行している企業や、極端にビジネスライクの企業では、ソーシャルウェルビーイングを高めるのが難しくなります。
知らず知らずのうちに社内環境が悪化してしまっているケースもよくありますので、この機会に改めて自社の風通しや職場環境をチェックしてみてください。
特にハラスメントは、職場環境を最も悪化させます。ハラスメントのない職場づくりについては、『「ハラスメント」の解剖図鑑』(www.amazon.co.jp/dp/4416723385)を参考にしてみてください。
ファイナンシャルウェルビーイングとは、その名の通り経済的な満足度や幸福度のことです。
給与やボーナスなどに満足している従業員が多ければ多いほど、企業全体のファイナンシャルウェルビーイングが向上していきます。
しかし、現在の日本では給与やボーナスに満足している労働者が比較的少ないです。
そのため、給与やボーナスアップなど、無理のない範囲で対策をしていかなければなりません。
フィジカルウェルビーイングとは、肉体的・身体的な幸福度・満足度のことです。
ケガや病気をすれば肉体的・身体的な不調だけではなく、メンタルの不調にもつながることがあります。一方、仕事や対人関係のストレスやプレッシャーが多くのしかかっていれば、メンタルでの不調につながり、それがフィジカルにも影響することがよくあります。
当然従業員のフィジカルウェルビーイングは向上していきません。
特に、人手不足に陥っている企業や、多くの従業員を雇用している企業はフィジカルウェルビーイングが低下しやすいと言われているため、定期的にアンケートや調査を行い、その結果をもとに何らかの対策を行っていきましょう。また、運動習慣の推奨など、企業側から従業員へ促していきましょう。
コミュニティウェルビーイングとは、そのコミュニティの中で幸せを感じられているかどうかを表した指標です。
従業員のコミュニティウェルビーイングが低下すると、満足度や幸福度が低下し、離職率が高くなったり、生産性が低下したりするため、経営陣は定期的に企業全体の風通しやメンバーの雰囲気などをチェックしていかなければなりません。
では次に、ウェルビーイング経営を実現させるために行うべき施策を4つ紹介していきます。
ウェルビーイング経営を実現するためにまず行うべきなのが、労働環境の見直しです。
労働環境が悪化している場合、従業員の満足度や幸福度が著しく低下します。
その結果、企業全体のウェルビーイングも低下してしまうため、生産性が下がったり、離職率が上がったりしてしまうのです。
残業時間を減らしたり、給与を上げたりといった労働環境の改善を行うことによって、従業員のワークライフバランスが向上するため、ウェルビーイング経営を実現させやすくなります。
社内の人間関係も、企業のウェルビーイングに大きな影響をもたらします。
ウェルビーイング経営を実現させるためには、個々の判断にゆだねるのではなく、企業がコミュニケーションを取りやすい環境を構築しなければなりません。
1on1を定期的に実施したり、メンター制度を導入したりすることによって、社内のコミュニケーションが活性化するため、企業全体のウェルビーイングも向上させやすくなります。
例えば、職場の懇親会や運動会を復活させ、コミュニケーションを活性化させたケースもあります。
「ウェルビーイング経営を実現したいが、給与を上げるのは難しい」
と悩んでいる方もたくさんいるでしょう。
そのような場合は、給与やボーナスを上げるのではなく、福利厚生を整備するのがおすすめです。
例えば、
・テレワーク制度
・特別休暇
・資格取得支援
・住宅手当
などを福利厚生として用意することによって、従業員の満足度や幸福度を高めやすくなります。
ウェルビーイング経営を実現させるためには、現状を理解し、目的や課題を明確にした上で施策を考えていくことが大切です。
定期的に従業員満足度調査を行うことによって、自社の課題や目的を見える化できるようになりますし、従業員の考えや悩みなども理解しやすくなるため、適切な施策を実施できるようになります。
ウェルビーイングとは、身体的・精神的・社会的に健康であり、満たされた状態のことです。
近年では、この考え方がビジネスの場でも活用されており、世界中の企業が「ウェルビーイング経営」に取り組んでいます。
ウェルビーイング経営を実現することによって、従業員の満足度や幸福度が高まり、心身ともに健康な状態を作れるようになるため、生産性の向上や離職率の低下など、様々なメリットを得られるようになります。
人々の働き方や仕事に対する考え方が変わっている昨今においては、ウェルビーイング経営が非常に重要な役割を果たしますので、企業としてより高みを目指していきたいと考えている方はぜひ挑戦してみてください。
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