2024年08月20日
コミュニケーション
企業にとって、人材は宝です。
優秀な人材を組織に定着させることができれば、生産性や効率のアップが期待できるようになり、結果として売上の向上にも繋がっていきます。
そのためには、ワークエンゲージメント向上に向けた施策を取り入れていくことが大切です。
この記事では、ワークエンゲージメントとは何か、ワークエンゲージメントを高めるにはどうすればいいのかということについて、詳しく解説していきます。
目次
ワークエンゲージメントとは、ユトレヒト大学(オランダ)の「ウィルマー・B・シャウフリ教授」が提唱した概念の1つです。
従業員が仕事に対してポジティブな感情を持ち、充実している状態のことを「ワークエンゲージメントが高い」と表現します。
ワークエンゲージメントは、個々のモチベーションを左右するだけでなく、パフォーマンスの維持・向上にも繋がるため、企業側にとっても非常に重要な概念といえるのです。
ワークエンゲージメントは、以下3つの要素が揃った状態として定義されています。
・活力
・熱意
・没頭
それぞれについて、詳しく見ていきましょう。
活力とは、仕事に対するエネルギーがみなぎっている状態のことです。
従業員の活力が増すことによって、課題や問題の解決に向けて積極的に取り組む姿勢を維持できるため、企業全体の生産性や効率を高めやすくなります。
熱意とは、仕事に対して誇りを持ち、熱中している状態のことです。
従業員一人ひとりが熱意を持つことによって、新商品や新サービスの開発、新規事業の企画などに対して意欲的になるため、業務改善や効率化も行いやすくなります。
また、熱意に満ち溢れた従業員が増えることによって、離職率が下がるため、安定した土台を構築できるようになります。
没頭とは、仕事に対して夢中で取り組んでいる状態のことです。
従業員一人ひとりが仕事に没頭することにより、生産性や効率の向上に繋げられます。
また、ケアレスミスをはじめとする人的トラブルなども軽減できるため、仕事の質を高めやすくなるのです。
ワークエンゲージメントは、その他複数の概念と密接な関係を持っています。
以下、代表的な関連概念をいくつか紹介していきます。
ワーカホリックとは、脅迫的に働く傾向のことです。
具体的には、自分の趣味や健康よりも仕事を優先していないと気が済まない状態のことを指します。
仕事中毒とも呼ばれるワーカホリックは、ワークエンゲージメント同様、仕事の活動水準は高めですが「熱意」と「没頭」が抜け落ちてしまっているため、仕事に対する気持ちやモチベーションは低い傾向にあります。
ワークエンゲージメントが「仕事をしたい」状態のことであるのに対し、ワーカホリックは「仕事をしなければならない」状態ですので、ネガティブな概念と捉えることもできるでしょう。
職務満足度とは、仕事に対して満足している状態のことです。
仕事に対する満足度が高いため、自然と仕事への態度や認知も高まりますが、ワークエンゲージメントと比べると活動水準が低くなる傾向にあります。
「仕事には満足しているし、楽しいけれども、新しいことに挑戦しようとは思わない」
と考える従業員もいるため、いかに活動力を上げてもらえるかを考えていかなければなりません。
つまり、仕事満足度だけを調査してもあまり意味はないのです。
バーンアウトとは、わかりやすくいうと「燃え尽き症候群」のことです。
この状態に陥ると、仕事に対するエネルギーを失い、心身ともに疲弊します。
そうなれば、仕事に対する熱意や活力がなくなるため、没頭できなくなってしまうのです。
このようなことから、バーンアウトは、ワークエンゲージメントの3要素である「活力・熱意・没頭」が全て欠けている状態といえます。
では次に、ワークエンゲージメントが注目されている理由について、詳しく見ていきましょう。
近年では、少子高齢化の影響によって労働人口が減っています。
労働人口が減るということは、人材不足に陥る可能性が高まるということであり、企業にとっては非常に深刻な問題です。
ワークエンゲージメントを高めることにより、離職率の低下に繋げられるため、優秀な人材を組織に定着させやすくなります。
このようなことから、多くの企業がワークエンゲージメントの向上に向けて動き出しているのです。
現在においては転職が当たり前となっており、これに伴って人材の流動性が高まっています。
ワークエンゲージメントを向上させることにより、既存従業員に「この会社で長く働きたい」と思ってもらえるようになりますし、転職を検討している優秀な人材に興味や関心を持ってもらいやすくなるため、一石二鳥といえるのです。
では次に、ワークエンゲージメントを高めるメリットについて詳しく解説していきます。
ワークエンゲージメントを高めることにより、企業全体の生産性や業務効率が高まります。
なぜなら、従業員一人ひとりが熱意と活力に満ち溢れ、仕事に没頭している状態だからです。
また、従業員が自ら積極的に仕事をしてくれるようになるため、企業内の風通しや環境も良くなります。
顧客満足度(CS)は、商品やサービスの質によっても左右されますが、従業員満足度(ES)によっても大きく変わります。
なぜなら、従業員が労働環境に満足していれば、自然と商品やサービス、対応の質が良くなるからです。
ワークエンゲージメントを高めることにより、
・従業員満足度(ES)が上がる→顧客満足度(CS)→売上の向上に繋がる
という好循環を生み出せるようになります。
冒頭でも解説したように、企業にとって人材は宝です。
ワークエンゲージメントを向上させることにより、従業員の満足度を高められるため、離職率の低下に繋げられます。
離職率が下がることによって、優秀な人材が育ち、定着していくようになるため、企業としての質やレベルを高めやすくなるのです。
ワークエンゲージメントを高めることは、従業員のメンタルヘルスケアにも繋がります。
各従業員が自発的かつ、楽しく仕事に取り組める環境を構築すれば、ストレスを軽減しやすくなるため、明るくて活気のある職場を作れるようになるのです。
ワークエンゲージメントは、自然に高められるものではなく、企業としての努力や取り組みが重要になってきます。
以下、ワークエンゲージメントを高めるために企業が行うべき取り組みや対策をいくつか紹介していきます。
ワークエンゲージメントを高めるためには、従業員を正しく評価する仕組みを作ることが大切です。
努力や結果を一切評価しない、あるいは上司によって評価基準が変わるというような状況では、ワークエンゲージメントの向上には繋がりません。
明確な評価基準を設け、仕事ぶりに応じて昇給や昇格など適切な評価をすることによって、従業員のモチベーションを高めやすくなるのです。
上司と部下による1on1ミーティングも、ワークエンゲージメントを高める上で非常に重要な施策です。
1on1ミーティングを実施することにより、従業員一人ひとりの状況を正確に把握できるため、モチベーションの維持や向上に繋げやすくなります。
また、企業や上司への信頼も生まれるため、メンバー同士の絆も深められるようになります。
人には「得手不得手」があります。
ワークエンゲージメントを高める上で大切なのは、従業員一人ひとりの得手不得手を理解し、適性に応じた業務を割り振ることです。そのためには、上司の傾聴力を高めることがポイントになります。
もちろん、短所を克服させることも大切ですが、だからといって適性に合っていない仕事を割り振ってしまうとモチベーションが低下します。
長い目で見ると、個々の能力を十分に発揮できる業務を割り振った方が、企業にとっても従業員にとってもメリットが大きいため、仕事の割り振りや裁量権を見直していきましょう。
従業員にキャリア開発の機会を与えることも、ワークエンゲージメント向上における重要な施策です。
新たなキャリアを身につけるための機会・チャンスを与えることにより、
「長く働きたい」
と思ってもらえる可能性が高まるため、結果としてワークエンゲージメントの向上に繋げやすくなります。
ワークエンゲージメントを高めるためには、プライベートの時間を充実させることが大切です。
プライベートが充実していれば、仕事に対するモチベーションが高まるため、ワークエンゲージメントの向上にも繋がっていきます。
特に人手不足に陥っている企業では、従業員がプライベートを犠牲にして働いているケースが多くあります。
こうなると、ワークエンゲージメントを高めるどころか「ブラック企業」と呼ばれ、離職率が高まるとともに、企業のイメージが低下しやすくなりますので注意が必要です。
ワークエンゲージメントとは、仕事に対する従業員の心理状態のことです。
従業員が仕事に対してポジティブな感情を持ち、充実している状態のことを「ワークエンゲージメントが高い」と表現します。
ワークエンゲージメントを高めることにより、生産性の向上や離職率の低下など、様々な効果に期待できるようになります。
とはいえ、ワークエンゲージメントは自然に高められるものではなく、経営者や幹部を中心に企業全体で取り組みを進めていく必要がありますので、今回紹介したことを参考にしながら、評価制度や労働環境を見直していきましょう。
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